DTP屋あかつき@おばなの稼業録。
  もう少しまともな意見を述べて欲しい  2008.09.08.Mon / 19:53 
JAGATのメールマガジン、
[Edu-Com no.205] 2008/09/08
発行:社団法人日本印刷技術協会 教育サポートセンター

より、

●これからの技術・技能系人材の育成について
~ 転換期を迎えた制作製造現場の教育と評価 ~

 いまデザイン制作をはじめDTP、印刷の現場では、コンピュータ化、IT化の進展によって自動化が進んでいます。そのため、ある技能を修得するまでに3年、5年とかかっていたものが、経験が不要になったり数ヶ月で習得可能になることがあります。
 かつては経験による熟練度によって生産性の向上がもたらされる度合いが高いことから、熟練度=価値の向上につながり、給与も増えました。しかし、現在のコンピュータ化、IT化による作業効率のアップはスキルレス化、非熟練化、非正規社員化を促進するもので、これが市場のコスト削減要求に応えるという構図になっています。すなわち技術の進化が利幅を減らすといった市場評価に苦しめられています。これらの現状から脱するための単純明快な解答はありませんが、デザイン制作、DTP、印刷・製本現場での人材に要求される能力や役割・評価が大きな転換期にさしかかっていることは確かです。

DTPだけに限定して言えば、間違った意見であると考えます。

確かにIT化の進展によって、DTPでの制作は専門職ではなくなりました。印刷知識が無い方でもIllustrator等を購入し、それなりのデータを作ることはできます。しかし、品質の高い製品(印刷物)を作る場合、依然として経験&専門知識は必要です。
価格の下落による利幅の悪化を改善する方法として、付加価値を付けて利幅を維持するためにも高品質な製品を作る必要があり、単純にコストの削減のみに注力するのは墓穴を掘るにも等しい行為ではないかと考えます(参考)。

また「IT化の進展によって自動化」は、工程を担当するオペレーターに対してはスキルレス化、非熟練化、非正規社員化を促進するものであっても、工程を構築・管理する担当者には高度な技術・知識が求められます。また、技術的な問題が発生した際、外部に問題解決の方法を依存していたのでは時間的に間に合わない危険性が高く、問題を自社で解決できる技術力を保持している必要があるのではないでしょうか?

IT化によって作業効率がアップしたなら、時間あたりの生産量も上がっているはずなので、受注拡大による仕事量&利益の確保を目指すのが常道であり、利益率を維持したいなら付加価値を付ければ済むことなのでは?

そもそもコンピュータ化したからといってスキルレスになるわけでも無いですし、習熟時間が減少するコトは無いのは、皆さんも実体験でおわかりですよね?

業界団体としてこのようなピントのズレた危機感の煽り方は如何かと。もう少し実情に即した提言をして欲しいと思いました。
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尾花 暁(あかつき)

  • Author:尾花 暁(あかつき)
  • 書籍や雑誌などのエディトリアルデザイン・DTPをメインに、職業訓練校などでDTP・製版に関する講義やセミナーも担当。 近著は『+DESIGNING』(マイナビ出版)VOLUME.45「比べてみればよくわかる! ○なデザイン、×なデザイン」(共著)ほか、同誌の特集や連載記事など。1級製版技能士。

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